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株式会社ティーエーサポート
B01 保証期間について
「納入後1年または稼働2000時間のいずれか早い方」契約仕様書等の保証期間の項目で良く見かける文句です。慣れてしまっているせいか、あまり深く考えないこともあるようです。しかし、この中には曖昧な内容も含まれています。
納入後とはいつのことを指すのでしょうか。完成品をそのまま設置して、数日程度の調整期間で本格稼働できる機器と、現地に搬入後、数ヶ月かけて工事、試運転調整を行う機器とは大きく異なります。一般的には、試運転調整が終わり、お客さまに引き渡した時点を言うことが多いようです。
ここで注意が必要なのは、お客さま=エンドユーザーとは限らないことです。新工場建設等で生産機器も含め一括してゼネコン等に発注した場合、生産機器はエンドユーザー⇒ゼネコン⇒機器メーカーという発注形態になります。この場合、機器メーカーからみたお客さまはゼネコンになります。大規模工場の場合、機器メーカーからゼネコンに引き渡す時期と、ゼネコンからエンドユ−ザーに引き渡す時期とでは、数ヶ月もの差が生じることがあります。多くの場合、このような差が生じないようゼネコンが調整していますが、念のため確認しておいた方が良いでしょう。
期間1年というのはわかりやすいのですが、稼働2000時間はどのようにカウントされるのでしょうか。エンドユーザーの稼働状況から概ね1年を2000時間としていることもありますが、システム内にタイマーが備わっている場合等は、その積算値を考慮することもあるようです。2000時間という長さは、1日8時間×250日に/年に相当し、休日や停止期間を考えると妥当なように思いますが、8時間を大きく超えて連続運転する場合は、それに応じて日数も短くなります。
不運にも保証期間内に修理が必要になった場合、その後の保証期間はどう変わるのでしょうか。例えば、ある部分が稼働9ケ月で修理したとします。機器の保証期間は残り3ケ月なので、修理した部分も3ケ月となるのか、その部分に限り修理完了後から新たに1年となるのでしょうか。理想的には後者となるべきと考えられます。この点についても後々のトラブル要因とならないよう、契約前に確認しておいた方が良いでしょう。